同性婚人権救済弁護団の新しいサイトができました! これからは同性婚人権救済弁護団からの情報発信は,新サイトの方で行います。
こちらのサイトについては,LGBT支援法律家ネットワーク有志による活動報告のみになりますので,よろしくお願いします。
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2017年12月9日、明治大学駿河台校舎で、LGBT支援法律家ネットワーク10周年記念・シンポジウムが開催されました。以下、基調講演、特別報告、パネルディスカッションの3部のようすをご報告します。
最初に、角田由紀子弁護士から、主に「同性婚」についてお話いただきました。
角田弁護士は『性の法律学」を1991年に有斐閣から刊行し、その中で、編集者のアイデアで同性愛者への差別問題を取り上げました。
この本の中では、性別役割分業のないレズビアンカップルの友人の話に始まり、日本の同性愛者への差別、日本の1972年の離婚判決において同性愛を「夫の性的異常」と認定した点を間違った見解として紹介し、各国の同性パートナーシップ制度、同性婚の法制化において憲法24条が障害とならないこと、同性愛者の家族をもつ権利、府中青年の家事件と、当時、司法界でほとんど議論されていなかった同性愛者の法的権利について積極的に著述されています。
この『性の法律学』において非異性愛者への差別を検証することで、現在の異性愛者における法律婚の問題点も明らかになったとのお話から講演は始まりました。
たとえば、社会保障の内容も配偶者との死別、離別、未婚の順で差がつけられています。つまり「法律婚への忠誠度」で異なっているのです。
また、婚外子に対する差別は長らく正当化されてきました。
これらは「結婚しない女性」や「離婚した女性」への抑圧・非難・差別であり、その根源は、「法律婚を守るために子どもに不利益を課してもかまわない」とする「異性愛者限定で皆が法律婚をすべき」との「皆婚社会」の発想から生まれています。この「皆婚社会」の考え方ゆえに非異性愛者の法的権利が無視されています。
例えば、非異性愛者は現在の日本では法律婚ができないという問題がありますが、その差別の理由として憲法24条を根拠にする意見がありますが、角田弁護士は、憲法24条は非異性愛者の法律婚を禁止していない、むしろこれを根拠に非異性愛者も法律婚の利益の享受を主張できるのではないかと提起します。多くの論者が24条の「両性の合意」のとの文言に引っかかっていますが、憲法24条の制定時に議論にあがってもいない同性婚を「排除」や「否定」とするのはおかしいというのが角田弁護士の指摘です。
また、「家族」に関する保守的な動きも紹介され、角田弁護士は現行の憲法24条のもとで同性婚は適合的だと論じることこそ説得的で、自民党改憲案や日本政策研究センターの改憲案では同性婚ないし同性婚家族が容認される余地はありえず、憲法24条が改正されないための運動に加わることが必要であると訴えました。
最後に、同性婚そのものへの漠たる不安を抱く人々に対しては、「同性婚を認めてもあなたに何らマイナスの影響が及ぶことはないし、むしろもっと生きやすいようになる」ことを普通の言葉で語り、同性婚に対する異性愛者の理解を獲得し共通の課題にしようとの投げかけがなされました。
女性の権利を考察する立場から、同性カップルの法的保護について考えを進めた角田弁護士。「ヒットする議論をすれば反発が来るもの。反発をおそれずに議論していこう」と大きなエールを送っていただいた基調講演となりました。
シンポジウム後半は、ネットワークメンバーの中村貴寿司法書士が「バックラッシュのゆくえ」との特別報告をしました。
中村司法書士は、セクシュアル・マイノリティの権利擁護に反対する団体や研究者を長年ウォッチしています。ネットで情報を集めるだけでなく、専門誌の継続購入もしています。日本会議、勝共連合、新生佛教教団などの団体や世界日報などとその主張を紹介し、その攻撃手法を「引用」と「数字の羅列」と整理しています。「引用」右派団体は互いの機関紙を読んでその内容を取り込み、引用がされた論文や記事を引用し、攻撃的な言論を補強することで、それを例を挙げながら説明してくれました。
次に「数字の羅列」とは婚姻率の低下の数字など、攻撃者が望ましくないと思う事実の数字を羅列し、それが同性愛や同性婚の負の影響であると解説しました。
杉田水脈議員らが「差別禁止法は左翼の利権のための法律」「同性愛は子どもを作れない関係なので『生産性』がない、そのようなものに支援は不要」「『基本的人権』で同性愛者も女性、子どももすでに守られている。それに加えて『○○の権利』というのは特権」という内容でセクシュアル・マイノリティを攻撃しているとの報告は、あたかも(本シンポジウムから半年以上が経過した)2018年7月、『新潮45』が杉田水脈議員の「論文」を掲載し、大きな問題に発展することを予言していたかのようです。中村司法書士のウォッチレポートは今後も目が離せません。
シンポジウムの最後を飾ったのは、パネルディスカッション「セクシュアルマイノリティ支援-これまで、そしてこれから」です。
前園進也弁護士のコーディネートで、パネリストの角田由紀子弁護士、上川あや世田谷区議会議員、山下敏雅弁護士、森あい弁護士が意見をかわしました。
山下弁護士はLGBT支援法律家ネットワークの10年とネットワークメンバー有志による各種弁護団の活動を紹介しました。ネットワークは法的アクセス障害を将来的に解消したいという思いで、メーリングリストで緩やかにつながりを広げてきました。「弁護士だけに限らない」「東京だけにしない」「セクシュアリティは問わない」という3点を大事にしてきた結果、全国に119人(シンポジウム当時)の会員が所属するネットワークになりました。有志による各種弁護団活動として、石原都知事による同性愛者差別発言に対する人権救済申し立て、GID・法律上も父になりたい裁判、同性婚人権救済申立て、台湾人同性パートナー在留特別許可訴訟、同性パートナーの犯罪被害者遺族給付金申請などを紹介しました。
上川議員には、世田谷区議会議員に当選した後、トランスジェンダーの地方議員としての活動をご紹介いただきました。
区内の同性カップルを探して「地方公務員には職務上知り得た情報の守秘義務がある」と説明し、プライバシーが気になる方々でも区長や区職員だけが出席する勉強会では秘密が守られると保障して協力してもらい、同性パートナーシップ制度実現につなげました。また、区と区教委の職員互助会で同性パートナーにも「結婚祝い金」「弔慰金」「旅行クーポン」が平等に支給されるようにしました。さらに性別や性自認、性的指向・民族などによる差別を禁止する「多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」の制定と、区政を次々と変えていきました。
角田弁護士からは上川議員のお話を受けて、「地方が最先端というのはおもしろい。生活に密着したところから見えるようにしていくことで、違いが存在することが正当であるとはいえなくなる。」とのコメントがありました。
森弁護士は弁護士が少ない地域である阿蘇に赴任して4年目。地方からできることに取り組んできたことをお話しました。地方からでもネット会議システムの方法で配信して地方と地方を結び、地方在住のセクシュアル・マイノリティの活動を支援する話がありました。
議論は盛り上がり、性同一性障害特例法制定に尽力した上川議員から、特例法における手術要件や婚姻要件、年齢差別などの課題について「トランスジェンダーの中で手術を望むのは2割程度。多様性の中で一部の人だけ。手術要件を課すのは国連機関も人権侵害だと指摘している」との解説がありました。
山下弁護士は東京レインボープライドが今や10万人が参加するイベントとなり、フジテレビの番組で「保毛尾田保毛男」というLGBTを揶揄するキャラクターに批判が集まるなど、具体的に動いていくことで制度がかわり、同性パートナーシップ制度も各自治体で始まり、今は中野区で議論が始まったことを紹介し、「『法律ってむずかしい。自分たちをしばるもの・おしつけてくるもの』と思われているけれども、みんなで決めるものです」と法律を自分たちの力で変えることができると強調しました。
角田弁護士はかつてセクシュアルハラスメントという社会問題を明らかにするため、6500人にアンケートをして本にした話を紹介して(筆者注『女6500人の証言―働く女の胸のうち』学陽書房、1991年刊)、当事者を可視化することの重要性を伝えました。あとで参加者から「当事者の可視化のアイデアが必要」との意見があがりました。出席していた記者からも「メディアの果たす役割でもある」との反応がありました。
地方や地域で、ひとりひとりのセクシュアル・マイノリティの当事者やそのパートナーの生活を支援できることがいくつもあり、その支援が積み重なることで日本全体を変えていく動きを生み出せる。制度を変える実践を積んだパネラーの方々のお話により、このことを確認できたシンポジウムとなりました。
記事筆者:弁護士 鈴木朋絵
私たちLGBT支援法律家ネットワークの有志は,今年もTokyo Rainbow Prideに参加します。今年で4年連続4回目の参加となります。
私たちのブースの場所は「コ11」です。
今年は,5月5日(土)に弁護士だけでなく,行政書士,社労士,司法書士などもLGBT支援法律家ネットワーク有志による多士業相談会を開催します。時間は11時から18時までを予定しています。5分程度の無料ミニ講座も適宜開催しておりますので、ぜひお立ち寄りください。
5月6日(日)は,同性婚人権救済弁護団のブースとなります。
同性婚人権救済弁護団の弁護士がお待ちしています。同性婚や人権救済について聞きたいことがある方,お待ちしております。詳細は「同性婚人権救済弁護団」サイトをご覧ください。
LGBT支援法律家ネットワークは、セクシュアル・マイノリティの問題に取り組む弁護士・行政書士・司法書士・税理士・社会保険労務士などの法律家のネットワークで、2007年に立ち上がりました。セクシュアル・マイノリティの相談に、偏見を持たず、正確な理解のもと、当事者の苦しさや悩みに寄り添える法律家を当事者らが探すのには、困難が伴います。そうした「法的アクセス障害」を解消していきたいという思いで、ネットワークはゆるやかにメーリングリストでつながりを広げていきました。メンバーは、セクシュアル・マイノリティ当事者もいれば、非当事者もいます。有志で弁護団を組んだり、イベントを開くなどしていき、現在、北海道から熊本県まで、100人以上のメンバーがいます。
今年で、ネットワークの立ち上げから10年になる事を記念して、皆さんとともに、これまでの活動を振り返り、これからの取り組みを考えたいと思います。
日時 | 12月9日(土)14時〜17時(13時30分開場) |
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会場 | 明治大学駿河台校舎 研究棟2階第9会議室(東京都千代田区神田駿河台1-1) |
会費 | 500円 |
定員 | 先着100名(当日参加も可能ですが,席に限りがあるため事前申し込みをされた方を優先させて頂きます) |
参加方法 | 事前申し込みは締め切りました。会場での当日参加申し込みをお願い致します。残席およそ20です。 |
首都圏以外にお住いの方や,入院や自宅療養中などが理由で,当日会場に起こしいただけない方のために,当日の模様をインターネット配信することに決まりました。
インターネット配信をご覧になりたい方は,以下の申し込みフォームの「4.インターネット配信」に「希望する」にチェックして,参加申し込みしてください。
イベント開始までに,記載いただいたメールアドレス宛に配信閲覧用のURLをお知らせ致します。
このURLを知る方しか閲覧できない限定公開ですので,第三者に漏らすことはご遠慮くださるようよろしくお願い致します。
また,本イベントは有料イベントです。参加費を支払ってくれた方とのバランスを図るために,ネット配信の閲覧だけの方にはカンパまたは寄付のお願いをしています。
カンパ・寄付の方法については,閲覧用URLをお送りする際に,メールに詳細を記載致します。
事前申し込みは締め切りました。会場での当日参加申し込みでよろしくお願い致します。
事前申し込みの人数は81人です。
本シンポのチラシ(確定版)です。講師の略歴や会場への地図も掲載されていますので,こちらもご覧になってください。ただ,未完成ですので予告なしに変更がありますのでご注意ください。
懇親会の会場が決まりました。会場近くの中華料理店です。店名や住所等は,イベント終了時に会場にて告知致します。なお,懇親会の参加費用は3,000円(食べ・飲み放題)です。
私たちLGBT支援法律家ネットワーク有志は,4月25日(土)に同性婚を考えるイベントを開催しました。翌26日(日)には,東京レインボープライドに人権救済申立の申立人や賛同者を募るためのブースを出店しました。簡単にですが,そのときの模様などを報告します。
イベントは2部構成で行われ,第1部は首都大学東京の木村草太准教授による同性婚についての講演。第2部は,大江千束さん(レズビアンやバイセクシュアルの女性のためのコミュニティ「LOUD」の代表),小川葉子さん(LOUDの副代表),中村吉基さん(日本キリスト教団新宿コミュニティー教会の牧師),木村草太准教授,山下敏雅弁護士(LGBT支援法律家ネットワーク有志の1人であり,コーディネーターとして参加)の5人によるパネルディスカッションが行われました。
第1部で,木村草太准教授は,憲法24条1項の「婚姻」と「両性」について,文言解釈から,同性婚を否定するという考えを導き出すことができないだけではなく,その趣旨から考えても,同性婚否定説というのは間違っていると明快に論じていました。木村草太准教授の講演の内容の詳細は,弁護士ドットコムニュースの「憲法が同性婚を禁止? 憲法学者・木村草太さん「そんな説はお笑い。今日でおしまい」」をご覧ください。
パネルディスカッションでは,レズビアンカップル,ゲイカップルという当事者の立場から,同性婚の要否や同性カップルに対する法的保障がないことによる不利益などについて,意見が交わされました。中村牧師が語ってくれた被災地における,あるゲイカップルの悲劇は,その痛ましさから会場が静まり返っていました。そして,第2部の最後には,裁判で同性婚が認めらないことの是非が争われたときには,木村草太准教授は,支援すると力強く宣言してくれました。
当日の来場者数は,一般の方が122人,メディアの方が11人でした。多くの方に来場いただき本当にありがとうございました。
私たちのブースは,東京レインボープライドの総合受付の近くにあり,絶好のロケーションでした。そのおかげか朝11時から夕方5時までの間,多くの方がブースに訪れていただきました。人権救済申立に対する賛同の署名のために立ち寄ってくださった方が大部分でしたが,なかには申立人になることを希望してくださる方もいらっしゃり,委任契約書と委任状をお渡ししました。
賛同の署名は,前日の同性婚を考えるイベントでも募っていました。2日間の署名の合計数は357筆。予想以上の数の署名をいただき,誠にありがとございます。
4月25日,26日ともに会場とブースで支援のカンパも募っていました。署名だけでなく多くの方がカンパにも協力してくださいました。4月25日には42,000円,4月26日は15,104円,合計で57,104円のカンパをいただきました。ありがとうございました。入場料としていただいたお金やカンパは,イベント開催等の費用として使わせていただきました。
以上で,4月25日・26日の活動報告です。今後ともご支援,ご協力をお願いします。
レインボーウィーク2015の企画として,4月25日(土)、東京・湯島で、憲法学者の木村草太准教授をお招きして「同性婚を考える」をテーマにイベントを開催します!
憲法24条1項は「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立」すると定めています。では、同性間の婚姻は認められるのでしょうか? 渋谷区同性パートナー条例を契機ににわかに話題の“同性婚”について考えます!
詳細は次のとおりです。ふるってご参加ください。
タイトル | 憲法学者・木村草太准教授と同性婚について考える 〜二人で生きる未来のために、ひとりひとりができること〜 |
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日時 | 2015年4月25日(土)13時30分開演,14時開演 |
場所 | 全国家電会館5階講堂(東京都文京区湯島3-6−1) |
内容 | 第1部 木村草太准教授のお話 第2部 パネルディスカッション(内容変更の可能性あり) |
入場料 | 1,000円 |
定員 | 170名程度 |
事前申込み | 告知’S |
主催 | LGBT支援法律家ネットワーク有志 |
問い合わせ先 | 永野・山下法律事務所 〒160-0008 東京都新宿区三栄町8番地 森山ビル東館3階 Tel 03-5919-1194 |
1980年生まれ。首都大学東京准教授(憲法学専攻)。
著書に『平等なき平等条項論』(東京大学出版会)、『憲法の急所』(羽鳥書店)、『キヨミズ准教授の法学入門』(星海社新書)、『憲法の創造力』(NHK新書)など。
2015年4月からテレビ朝日系列「報道ステーション」のコメンテーターとしても活躍中。
【このイベントは東京レインボープライドに協力しています】